S50CMの材質、成分、硬度、機械的性質|ミガキ鋼であるS50CMの特徴

2014年4月1日更新

S50CMは炭素量が0.47〜0.53%となる硬鋼の部類になる炭素鋼で、その中でも圧延加工のあとに冷延加工をしているみがき特殊帯鋼と呼ばれる規格材料の一つです。焼きなまし後の硬度や、冷間加工したままの状態での硬度のついての数値が記載されているため、硬度を制御する必要がある用途では重宝します。

機械構造用炭素鋼にあるS50Cと、基本的な部分は似ており、こちらのみがき帯鋼のほうでは、成分規定にさらにCuやNi、Crが追加されています。

用途はカメラをはじめとする構造部品やチェーン部品、ばね、バネ部品、クラッチ部品、安全バックルなどに使われます。S50Cともなると、焼き入れ次第では炭素鋼の中でもかなりの硬度が出てきます。

S50CMの機械的性質

引張強さや降伏点、耐力といった機械的性質については、みがき鋼となる前の材料(末尾のMを除いた材料記号ごと)にそれぞれ規定があります。

S50CMの板厚や長さ、幅の許容公差

いずれも「みがき特殊帯鋼」として規格となっています。みがき帯鋼のサイズ別の許容公差についてはこちら。

S50CMの成分、材質

S50CMの成分、材質
鉄鋼材料の種類 C Si Mn P S Cu Ni Cr Ni+Cr
S50CM 0.47から0.53 0.15から0.35 0.60から0.90 0.030以下 0.035以下 0.30以下 0.20以下 0.20以下 0.35以下

S50CMの硬度

S50CMのビッカース硬度
種類 焼きなまし後の硬度 冷間圧延したままの硬度
ビッカース硬さ
(HV)
ビッカース硬さ
(HV)
S50CM 180以下 180から270

「JIS G 3311 みがき特殊帯鋼」に規定のある材料記号

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みがき特殊帯鋼の種類と特徴

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