ガラスの種類と成分、融点、比重、熱伝導率などの物性

2012年12月23日更新

板ガラスは一般的なものであれば、軟化温度が約730℃前後、融点を全成分を完全に溶融させる温度と定義するならば約1200℃〜1400℃前後といえます(一般的な板ガラス製造時の溶融温度は1400℃前後となります)。比重は凡そ2.5前後で、水には沈みます。ただしガラスの種類に大きく左右され、2.2前後から6.3前後まで多様な比重を持つガラスが存在します。熱伝導率は約1W/m・Kです。線膨張率は8.5〜8x10-6/℃が常温〜300℃付近までの値です。

ガラスも金属同様に熱処理によって性質を変えるため、この有無や熱処理(焼入れ等)の種類も考慮する必要があります。

ガラスの硬度は通常のものであればモース硬度6前後となります。割れやすいですが(割れにくいものも開発されていますが)硬い材料であるため、硬脆材料に分類されます。金属材料よりもガラスのほうが硬い素材になります。機械的性質としては、圧縮強度は概ね、900N/mm2前後、引張強さは50N/mm2前後となります。

多くの工業分野、産業で使われるガラスには多様なものが開発されており、現在では従来のガラスでは考えられなかった物性を持つものも市場には出てきています。ガラスは添加する材料、組成成分と製法、のちの熱処理によって物性にはかなり違いが出てくる素材の一つです。

成分によるガラスの分類

一般的なガラスは、主にその成分から分類されるため、下表にその特徴を列挙していきます。

石英ガラス(高ケイ酸ガラス)
理化学用機器から光学部品まで使われるガラスで、ケイ酸を主成分にしたガラスです。高い耐熱性と、熱膨張率の低さ、高融点などを特徴とします。
ソーダガラス(ソーダ石灰ガラス、フロートガラス)
いろいろな呼び名がありますが、窓ガラスや瓶、ガラス製品、カバーガラスなどのガラス部品の多くに使われる汎用ガラスの一つで、青板ガラスもこの部類です。SiO2のほか、酸化ナトリウム、酸化カルシウムを主成分とします。光学ガラスの一種であるクラウンガラスもこのガラスが元になっています。
カリ石灰ガラス、ボヘミヤガラス)
耐薬品性に優れたガラスで、それを活かした理化学用機器やプリズム、ステンドグラスなどにも使われます。
カリ鉛ガラス、クリスタルガラス
耐熱性や耐酸性には劣るものの、高い屈折率を持つため、光学部品に多用されます。また表面をカットすると模様をつけることでよく輝くため、模造宝石にも使われます。光学ガラスの一種であるフリントガラスは鉛ガラスを元にしています。
ホウケイ酸ガラス
耐熱性に優れ、熱膨張率も少ないガラスで、ショット社のBK7もこの部類です。ホウ酸、アルカリ、ケイ酸を主成分とします。光学部品や理化学機器用、温度計、耐熱ガラス製品など幅広く使われます。
水ガラス
ケイ酸ソーダに代表されるケイ酸と1種のアルカリを主成分とする液体。防水剤や防火剤、接着剤に使われます。

特殊ガラスの種類

上記とは別に、特殊なガラスも存在します。

例えば安全ガラスに分類される強化ガラスや合わせガラスです。強化ガラスは、ガラス加熱後に急速冷却する熱処理を行うことでガラスの表面に強い圧縮応力層を作って破壊強度を高めたもので、通常のガラスの5倍前後の衝撃強さを持ちます。また、破壊される際には、砂粒状態に砕けるため、安全な性質も持ち合わせています。

また合わせガラスは、2枚の板ガラスの間に樹脂を挟みこんだもので、自動車のフロントガラスやショーウィンドウ、防弾ガラスなどに使われるものもあります。

このほか、合わせガラスに似ていますが、2枚の板ガラスの間に、密閉した空間層を設けた複層ガラスもあります。これは間に空気の層を設けることで、音を遮断したり、熱の伝わりを小さくしたりする目的で使われます。

特殊ガラスには、特定の光を吸収したり反射させたりするガラスも存在します。多くはガラスの表面にコーティングされた薄膜でこうした機能性が付与されますが、ガラスそのものにもこうした機能性を付けたガラスがあります。

紫外線透過ガラス、紫外線吸収ガラス
紫外線には殺菌効果や特定の植物の生育条件に影響を及ぼしたり、物質によっては対象を硬化させることが可能なため、場合によっては紫外線を通す必要が出てきます。
紫外線とは波長の短い光のことであり、通常のガラスであれば、ある一定の波長以下の光は透過しづらくなります。そこで使われるのがこうしたガラスで、成分中の鉄分を少なくするなどの調整によって作られます。
また紫外線の吸収は逆に鉄分を多くするなどして作られますが、より精度・効果の高いものが必要なケースでは、紫外線吸収効果の高い薄膜をガラス表面に付けることが一般的です。
熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス
ガラス窓は採光と同時に、外気と直接触れる部分であり、断熱効果を持つガラスが求められることもあります。ガラスの成分の中に鉄、クロム、ニッケルなどを入れることで、熱線に相当する波長の長い太陽光を吸収してしまうことが可能です。また、ガラス表面にコーティングすることで、吸収ではなく、反射させることも可能です。
遮熱と断熱は別物と考えられており、冬場は暖房で暖めたり太陽光で温まった部屋の気温が下がらない断熱が求められ、一方、夏場は、強い日差しによる室温の上昇を防ぐ遮熱が求められます。こうした機能は窓用のフィルムなどの開発も進んでおり、製品によっては断熱と遮熱の双方を兼ね備えたものも市場に出てきています。

基本的に、光をコントロールするための機能としては、ある波長の光を反射、吸収、透過、散乱させることなどにより成されます。基材となるガラスそのものではこれらのコントロールを精緻に行うことが難しいため、現在では、薄膜やフィルムなどをガラスに付けることでこうした機能が付与されています。

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