繊維補強コンクリートとは

2011年8月31日更新

コンクリートはセメントと骨材によって人工的に作られる「石」にも似た材料ですが、圧縮強度に比べて引張強度が弱く、石と同様に硬い物質ではありますが、粘りがなく(靭性が弱く)、強度のない方向からの負荷がかかるとクラックや亀裂が発生したり、破壊されることがあります。硬くて脆い材料の側面も持っています。こうした弱点を改善するために、組織内部に合成繊維や鋼繊維などを入れて機械的強度を改善したものが繊維補強コンクリートです。耐アルカリガラス繊維でコンクリートを補強したものは、ガラス繊維補強セメントを用いたもので、引張強度や靭性の弱さを補強して、コンクリートが本来使われにくい箇所にも使うことができます。

また重量を軽くすることもでき、不燃材料、高層ビルの内装外装、大面積の天井、耐塩害が求められる海上の施設、凍害の起きる寒冷地などでも活用されています。製法としては、ミキサーに入れる段階で繊維を混ぜていくプレミックスと、型に流し込む段階でスプレーガン等を使って混入させるダイレクトスプレー法があります。

なお、日本GRC工業会で公開されているガラス繊維補強セメントの物性は以下のようになっています。製法により強度が違う点に留意する必要があります。

ガラス繊維補強セメント(GRC)の物性、強度
  ダイレクトスプレー法 プレミックス法 プレミックス法軽量タイプ
曲げ強度
(N/mm2
比例限界強度 8から15 5から10 4から8
破壊強度 20から30 10から18 6から12
曲げヤング率
(N/mm2
15〜25×10 13〜21×10 5〜12×10
圧縮強度
(N/mm2
50〜80 40〜80 20〜50
乾燥収縮率 8〜15×10−4 8〜15×10−4 3〜5×10−4
熱伝導率
(W/m・K)
0.7〜1.0 0.7〜1.0 0.4〜0.6
熱膨張率
(1/K)
7〜12×10−6 7〜12×10−6 7〜12×10−6
気乾比重 1.8〜2.3 1.8〜2.3 1.3〜1.8

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