高炉セメント(A種、B種、C種)の成分、特徴について

2011年4月18日更新

クリンカ、石膏とともに混合材として高炉スラグを採用したセメントのことで、高炉スラグの比率によってA種(5を超え30%以下)、B種(30を超え60%以下)、C種(60を超え、70%以下)があります。一般には高炉セメントB種がよく使われ、特に土木のコンクリートで多用されます。ダムや港湾等の大型工事にもよく使われます。

高炉スラグとは、製鉄所の高炉から廃棄物として出るガラス質の物質で、水砕スラグともいいます。これは石灰やセメントと混合することで、水硬性を示す物質ですが、そのままでは水硬性を持ちません。それゆえ、潜在水硬性を持つという言い方をされます。このように高炉スラグには潜在水硬性があり、アルカリ刺激によって固まる特性があります。

高炉セメントは普通ポルトランドセメントに比べて初期強度は小さく、長期強度は同等程度にまでなります。一般に、4週間経てば普通ポルトランドセメントと同等以上の硬さになります。このように硬化に時間のかかるセメントであるため、養生期間を長めにとる必要があります。

また、このセメントはアルカリ骨材反応を抑制する効果があることが知られています。また硫酸塩などにも強い性質を持つことから、用途としては、海水や下水に触れる箇所や、マスコンクリート、熱を受ける可能性のあるコンクリートや土中、地下構造物のコンクリートに使われます。緻密な硬化体となるため、水を浸透させにくいという特質もあります。このため、水密性が求められる現場でも用いられます。

なお、詳しくは高炉セメントのJIS規格である「JIS R 5211」(2009)を参照ください。

高炉セメント(A種、B種、C種)の成分、圧縮強さ、比表面積、特性
  高炉セメントA種 高炉セメントB種 高炉セメントC種
密度(g/cm3) - - -
比表面積(cm2/g) 3000以上 3000以上 3300以上
凝結 始発(min) 60以上 60以上 60以上
終結(h) 10以下 10以下 10以下
安定性 パット法
ルシャテリエ法(mm) 10以下 10以下 10以下
圧縮強さ(N/mm2) 3d 12.5以上 10.0以上 7.5以上
7d 22.5以上 17.5以上 15.0以上
28d 42.5以上 42.5以上 40.0以上
化学成分(%) 酸化マグネシウム(MgO) 5.0以下 6.0以下 6.0以下
三酸化硫黄(SO3) 3.5以下 4.0以下 4.5以下
強熱減量 5.0以下 5.0以下 5.0以下

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