A2014とは|JIS規格材の特徴と物性

2010年12月2日 2024年2月11日更新

A2014とは、JIS規格材のうちAl-Cu系をベースとしたアルミ合金で、強度の高い材料です。熱処理して用いる合金で、A2014の合わせ板としては、表面に6003材を張りつけて耐食性を改善しています。航空機や自動車ギヤ、エンジンピストン等にも使われます。

合金元素としては銅が主要元素となるので、これが要因で耐食性はよくありません。特に最高の強度を出すT6に調質したものは腐食が心配される環境では何らかの対策が必要です。

溶融溶接性は他のアルミ合金に比べると劣る傾向があります。リベットやボルトでの締結、抵抗スポット溶接での接合が検討されます。

A2014の成分

2000番台の番号が付いているアルミはアルミ合金のうち、CuやMgを含んだ高強度型の熱処理合金に分類されます。

反面、腐食には注意を要し、防食処理や表面に耐食性に優れた純アルミをつけたアルクラッドでの使用も検討対象となります。

2000系のアルミ合金の中ではマグネシウム量が低いので鍛造性に優れた材料です。

A2014(アルミニウム)の成分
合金番号 Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn Ga, V, Ni, B, Zr等 Ti その他 Al
個々 合計
A2014 0.50から1.2 0.7以下 3.9から5.0 0.40から1.2 0.20から0.8 0.10以下 0.25以下 - 0.15以下 0.05以下 0.15以下 残部
A2014PC(アルミニウム合わせ板)の成分
合金番号 合わせ材 Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn Ga, V, Ni, B, Zr等 Ti その他 Al
個々 合計
A2014PC(合わせ板) 心材 0.50から1.2 0.7以下 3.9から5.0 0.40から1.2 0.20から0.8 0.10以下 0.25以下 - 0.15以下 0.05以下 0.15以下 残部
皮材(A6003) 0.35から1.0 0.6以下 0.10以下 0.8以下 0.8から1.5 0.35以下 0.20以下 - 0.10以下 0.05以下 0.15以下 残部

A2014の機械的性質(耐力、引張強さ、伸び、せん断強さ、硬度、疲れ強さ、ヤング率)

強度を特徴としたアルミ合金であり、高強度にしたい場合はT6材での使用が好まれますが、T4材からT6材に変えると耐食性が著しく低下する為、使用環境で求められる要素のバランスを見て選択する必要があります。

靭性を求めるのであればT4材が好まれます。

A2014の機械的性質
アルミ材料記号 調質 引張強さ(N/mm2 耐力(N/mm2 伸び率(板1.6mm厚) 伸び率(棒φ12.7mm) ブリネル硬さ(10/500) せん断強さ(N/mm2 疲れ強さ(N/mm2 縦弾性係数(×1000)(N/mm2
A2014 O 190 100 - 18 45 125 90 75
A2014 T4, T451 435 295 - 20 105 265 140 75
A2014 T6, T651 490 420 - 13 135 295 125 75
A2014 O 合わせ板 175 70 21 - - 125 - 74
A2014 T3 合わせ板 445 280 20 - - 260 - 74
A2014 T4, T451 合わせ板 430 260 22 - - 260 - 74
A2014 T6, T651 合わせ板 480 420 10 - - 290 - 74

AA規格、ISO規格、EN規格、ASTMでの相当材、類似材料

A2014Pの他国規格での相当材としては下表のものがあります。

A2014の相当材
規格名称 材料記号
AA 2014
ASTM 2014
EN EN AW-2014
ISO AlCu4SiMg

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