ADC14の機械的性質、比重、成分、熱伝導率など|アルミダイカストの特徴

2013年5月4日更新

ADC14は強度、耐摩耗性に優れたタイプのアルミダイカストで、特に高温下での強度も他のタイプと比べて最も良好です。合金系としては、シリコン、銅、マグネシウムを合金元素としたAl-Si-Cu-Mg系アルミ合金です。別名、ハイシリコンアルミニウム合金とも呼ばれ、類似合金としてはB390.0があります。

ADC14の特徴

熱膨張係数が小さいという特徴があり、耐力はよいものの、伸びは低くなるため耐衝撃には若干劣ります。鋳造性もやや劣る部類で、アルミダイカストの中では可もなく不可もなくという位置づけとなります。ただし鋳造性の中でも、湯流れ性は最も良好なADC1と同等です。

元々はエンジンブロックの軽量化のために開発されたもののが、現在は、ハウジングクラッチ、自動変速機用オイルポンプボディなど各種自動車内の部材に使用されているアルミダイカストです。

自動車用のオートマチックトランスミッション用オイルポンプボディ、自動車用のハウジング、カークーラコンプレッサーハウジング、カークーラシリンダブロック、ミッションシフトフォーク等の部材として使われる他、バイクのインサート、ハウジングクラッチへも使われることがあります。

ADC14の比重

ADC14の比重は2.73となります。

ADC14の成分、組成、材質

ADC14の成分
種類 成分
Cu Si Mg Zn Fe Mn Cr Ni Sn Pb Ti Al
ADC14 4.0から5.0 16.0から18.0 0.45から0.65 1.5以下 1.3以下 0.5以下 - 0.3以下 0.3以下 0.2以下 0.30以下 残部

ADC14の機械的性質|引張強さ、伸び、耐力、衝撃強さ、せん断強さ、硬さ

ADC14の機械的性質
種類 ADC14
縦弾性係数(ヤング率)
GPa
81.2
引張強さ
MPa
-
耐力(0.2%変形)
MPa
250
伸び(50mmでの)
<1
衝撃強さ
kJ/m2
38
せん断強さ
MPa
-
疲れ強さ
MPa
-
硬度
HRB
68

ADC14の熱的性質、電気的性質|比熱、熱伝導率、熱膨張係数、凝固温度、電気伝導率

ADC14の物理的性質、熱的性質、電気的性質
比熱
J/(kg・K)
-
熱伝導率
W/(m・K)
134
電気伝導率(銅基準)
27
熱膨張係数(293から473K)
18x10-6/K
凝固温度
648から507

アルミダイカストの一覧|JIS規格

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