IADとは

2012年4月7日更新

薄膜や蒸着の世界でIADといった場合、これはIon assisted depositionの略で、イオンアシストを用いた蒸着のことを指しています。イオンアシストには、イオンビームやイオンプレーティングなどいくつか方法があります。真空蒸着は、非常に高いレベルの真空度で行うため、膜の品質も高く保たれる成膜手法ですが、耐熱性の低い基板や基材を用いる際はどうしても低温成膜となり、加熱不足からくる密着力の不足や、成膜レート(速度)が遅いなどの欠点もありました。また薄膜そのものの密度、充填率といいますが、これを十分に高く出来ないと光学特性が時間の経過とともにシフトしていくという問題があります。

端的に言えば、イオンの力を借りることでこうした問題を解決しようとしたのがこの技術のそもそものはじまりですが、現在「真空蒸着」といった場合は、ほとんど何らかのイオンアシスト機構が装置には備わっています。特に成膜を業としている会社であれば、何らかのアシスト機構は装置に取り付けてあることがほとんとです。

プラスチックのレンズなど基板の加熱が十分にできないものが増えてきたため、IADは不可欠の技術とも言えるようになってきましたが、IADであってもある程度の加熱は必要なため、さらに低温での成膜が必要な基板の場合は、別種の技術が要ります。

薄膜の特性【参考】

主として光学膜や機能膜として用いられる薄膜の代表的な特性、物性について紹介します。

酸化物の薄膜

フッ化物の薄膜

窒化膜

炭化膜

スポンサーリンク

>「IADとは」の先頭へ

「成膜や薄膜、蒸着、スパッタのFAQ」の目次へ戻る

IADの関連記事

透明導電膜とは
真空蒸着の原理
スパッタとは
受託成膜や成膜サービスを行っている企業の一覧
「めっき」を行っている企業の一覧
「溶射」を行っている企業の一覧
蒸着材料のメーカー一覧
スパッタリングターゲットのメーカー一覧
CVD材料のメーカー一覧

砥石からはじまり、工業技術や工具、材料等の情報を掲載しています。製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、購買調達、資材、生産管理、物流、経理など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

このサイトについて

研削・研磨に関わる情報から、被削材となる鉄鋼やセラミックス、樹脂に至るまで主として製造業における各分野の職種で必要とされる情報を集め、提供しています。「専門的でわかりにくい」といわれる砥石や工業の世界。わかりやすく役に立つ情報掲載を心がけています。砥石選びや研削研磨でお困りのときに役立てていただければ幸いですが、工業系の分野で「こんな情報がほしい」などのリクエストがありましたら検討致しますのでご連絡ください。toishi.info@管理人

ダイヤモンド砥石のリンク集

研磨や研削だけでなく、製造業やものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業分野で必要とされる加工技術や材料に関する知識、事業運営に必要な知識には驚くほど共通項があります。研削・切削液、研削盤、砥石メーカー各社のサイトから工業分野や消費財ごとのメーカーをリンクしてまとめています。

研磨、研削、砥石リンク集