窓用の断熱フィルムや遮熱フィルムはどの程度の効果があるか

2013年3月7日更新

遮熱フィルムとは、樹脂透明フィルムの表面に薄膜を積層したフィルムで、窓用に使われるものは、窓の内側もしくは外側から貼り付けることで、特定の波長域の光をカットしたり、透過させたりするものです。昨今は、遮熱と断熱の双方の機能を併せ持つものも出てきています。

一般には遮熱効果を極めていくと可視光での透過率は悪くなっていく為、逆に透明度を優先すると、遮熱の効果は低下してしまいますが、目的に応じて両者のバランスを取った製品が各社から発表されています。なお、UVカット、紫外線カットの機能はほとんどのフィルムに備わっています。ちなみに光学原理的には紫外線がよく透過するフィルムを作る方がコスト高になり、技術的にも高度なものが要求されます。

遮熱や日射光の遮蔽効果は、各社のカタログに掲載されている熱貫流率、遮蔽係数、日射の透過率、反射率、吸収率を見ることで比較可能です。可視光の透過率というのは目に見える光をどれくらい通すかを示す値で、この値が大きいものほど透明度の高いフィルムとなります。

窓フィルム、ウィンドウフィルムとカテゴライズされている製品の場合、特に住宅用としては、日射を避け、断熱を効果を持ち、かつ透明度を損なわないものが求められることが多いですが、これらは光学的に言い換えると、外から入ってくる赤外線を反射・吸収し、内側からも長波長の赤外線を反射・吸収し、可視光線の透過率をなるべく高く上げるということになります。

これは遮熱フィルムに限りませんが、光を透過、反射、吸収させるような調整機能をもつ光学製品の場合、光を通した際には下図のような「損失」が各所で発生します。100の光をある部材に照射した場合、そのすべてを透過させることは物理的にできません。

ガラスそのものや樹脂フィルムそのものにも可視光を減衰させ、紫外線、赤外線をある程度反射・吸収・散乱させる効果もあるため、これらをすべて考慮した数値が、最終的な日射の遮蔽効果、透明度といったパラメータになって出てきます。

光を通す製品には必ず以下の式が成立します。

  • 透過率+吸収率+反射率+(散乱:吸収に含んでしまうこともあります)=100
光の反射率、透過率、吸収率の関係

100%の光が入射した際に、最終的な透過率が50%であった場合、残りの50%は損失となり、損失の内訳は「吸収」、「反射」、「散乱」で構成されています。

遮熱フィルムの特性

熱線のもととなる日射光(赤外線)をどれだけ反射、吸収できるかという点が遮熱フィルムの主な性能ですが、透明度を重視する場合や、フィルムの色、機械的な強度、耐熱性、メンテナンス製、ガラス飛散効果、施工のしやすさ、密着力などの他の機能もあわせて検討していく必要があります。

日本のJIS規格では、日射調整フィルム、ガラス飛散防止フィルム、ガラス貫通防止フィルムの3種類について、性能に応じた規定があります。フィルムそのものへの要求事項としては、引張強さ、伸び、粘着力、耐候性、透明性、均一性、強靭性、可とう性、温度や湿度変化による寸法の安定性が求められます。

遮熱フィルムは、基材であるフィルムに薄膜を積層させてあるものが主流です。薄膜は、太陽光のうち熱線に相当する「赤外域」の光を極力透過させない機能を持つもので、断熱の効果を強調したものは、熱を通しにくい薄膜が成膜してあります。こうした膜の構成は、金属膜を構成に含む場合と、有機化合物の薄膜を積層させていく手法を使う場合もあります。

日射や可視光はどの範囲の光か

日射というと太陽の光が思い浮かびますが、波長で見た場合、どこからどこまでについてなのか明確な定義がないと、窓フィルムの性能を比較検討することが出来ません。規格としては、JIS A 5759「建築窓ガラス用フィルム」があり、この規格内で、日射や可視光線が示している光の波長については以下の通り定義されています。

日射や可視光の波長域の範囲
光線の名称 波長域
日射 300nm〜2500nm。
この定義は、ISO 9050と同じであり、フィルムの透過率、吸収率、反射率はISO規格採用国のものとも比較可能。
可視光線 波長380nm〜780nm
紫外線 300nm〜315nm(UV-B域)、315nm〜380nm(UV-A域)

なお、ISO 9050では「Glass in building - Determination of light transmittance, solar direct transmittance, total solar energy transmittance, ultraviolet transmittance and related glazing factors」として規格化されています。

断熱フィルムとしての性能を見る指標

遮熱の効果については、遮蔽効果や日射の透過、反射、吸収で見ることが出来ると前述しましたが、断熱性を見る場合は、フィルムのもつ熱を遮蔽する能力を見る必要があります。これについては特に遮蔽係数と熱貫流率と呼ばれるパラメータで比較が出来ます。

遮蔽係数(Shading Coefficient)
厚さ3mmの板ガラスに、日射をあてて、どれくらい通過するかを率で示したものです。定義としては、入射した光が一度吸収された後に入射面の反対側に再放射される分も含んで通過する率(透過分と再放射分の和)を、板ガラスだけの場合の率を1とした表したときの係数となります。この値が小さいほど、日射をカットする性能が高いことを示します。通常の可視光域用の光学部品によっては「再放射」の部分はあまり見ませんが、窓フィルムでは長波長の光である「熱」をカットする目的があるため、再放射も加算して遮蔽能力を見ます。
熱貫流率(Solar Heat Gain Coefficient)
厚さ3mmの板ガラスに窓フィルムを貼り付け、その両側(外と内)の温度差が1℃あるとき、面積1平米当たり単位時間に通過する熱量。この値が小さいほどにフィルムが熱を遮蔽する効果が高いことになります。つまり、熱貫流率の値の小さいものほど断熱効果が高いと言えます。断熱の性能を見るときに指標の一つとします。

遮熱フィルムや断熱フィルムの効果と比較

各社発表のウェブサイトやカタログにより、断熱フィルムや遮熱フィルムの性能を示す一例として下表のような製品があります。

各社の遮熱フィルムや断熱フィルムの効果と比較
メーカー名 効果
リンテック 3mmのフロートガラスが日射透過率86%に対し、同社のヒートカットHCN−70Bの窓フィルムを施工すると日射透過率39%に。
住友スリーエム 同社の標準タイプNANO80S(高い遮熱性と透明度を両立させたバランス型)では、可視光の透過率が84%、日射の反射率22%、透過率51%、吸収率27%となっている。通常のウィンドウフィルムについている太陽光の反射のために設ける金属膜がないため、透明度が高く、金属腐食や電磁波遮断がない。
ソーラーガード 可視光透過重視型(高透明度)のもので、太陽エネルギーの半分以上をカット。同社のLX70のカタログでは、日射の透過率は37%(3mmガラス)となっている。なお、日射の吸収が28%、反射が35%。
ハニタコーティング イスラエルのハニタ社の窓フィルムを扱うPVJ社によると、内貼タイプのクリアクリスタルSC70(透明遮熱タイプ)で、太陽光の反射率は31%、吸収率は29%。
NEXFIL 米国のNEXFIL社の建築用、住居用の窓フィルムでは、ナノセラミックスタイプと、スパッタタイプの二種類がある。ナノセラミックのSSL800では日射の透過率41%、吸収45%、反射率14%となっている(可視光の透過率は74%)。
MADICO社 住居用のものとしては、透過率と引き換えに高い遮蔽係数(0.26)や熱貫流率(0.22)を持つRS20等がある。
日東電工 PX-7000Aは遮熱、断熱効果を持つ窓フィルム。日射の反射率は36%、透過率46%、吸収率18%で可視の透過率は71%となっている。断熱性の指標となる熱貫流率は3.8(W/m2・K)、遮蔽係数は0.56となる。紫外線については他者の多くのフィルムと同様に、99%超カット。

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