研削加工の特徴と方法

2011年6月7日更新

研削加工では、切削とは異なり、砥粒の一つ一つが刃として作用する加工になります。砥粒を用いる加工は、いわばこの粒の一つ一つが刃の役割を果たし、非常に硬い素材の厚みを落としたり、面精度を上げたりすることに向いています。研削と切削の大きな違いはここにあり、切削に用いる工具の刃がたいていは一つであるのに対し、研削の場合は、研削砥石やダイヤモンドホイール、CBN砥石など砥粒が大量に入っているため、刃が多数存在する工具を用いた加工になります。このため、硬さで工具のほうが劣っていても、加工対象を削っていくことが可能です。

研磨との違いは、研削は主に所定の寸法精度の下に形状を作り出すという点に力点が置かれています。とはいえ、業界によっては研削と研磨を厳密に区別していない場合もあり、一般的には研磨のほうがよい面精度の高い滑らかな面品位を作り出すための加工という捉え方が一般的です。いわば研削の後工程という位置づけです。レンズや光学製品などの世界では、研削のあとに続く研磨工程でも「ラッピング」「ポリッシング」と工程ごとに意味する加工内容が異なります。

研削のほとんどは、研削盤と呼ばれる専用の機械を用いて行いますので、この機械分類を見れば、どのような加工なのかより理解しやすいかと思います。

研削加工の特長

  • 高精度の加工が可能。
  • 超硬、鉄鋼材料(ハイス鋼、ダイス鋼、炭素鋼など)、非鉄金属(銅、アルミなど)、ガラス、石英、石材、プラスチックなどあらゆる素材に適応できる。
  • 砥石は、ダイヤモンドホイールやCBN砥石、WA砥石、GC砥石などの研削砥石を用いる
  • 砥石が高速回転することで加工。
  • 切削不可能なほど硬いものでも削ることができる場合も。

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研削加工の手法別の特徴

平面研削
平研(へいけん、ひらけん)とも呼ばれます。研削盤のテーブルにワークを固定して、上に取り付けた砥石を高速で回転させ、ワークそのものが載っているテーブルを様々な方向に動かすことで対象を削る手法です。砥石の外周を使うことが多く、非常の大きなワークから小さなものまで幅広い分野で使われる研削手法です。
円筒研削
単に円筒(えんとう)とも呼ばれます。加工対象も高速で回転させ、それに砥石を接触させて加工物の外周を削る手法です。厚みを落としたり、あらゆる加工の基礎ともいえる手法です。ワークは研削盤の主軸台と心押し台のセンターで両側から挟みこむため、こうした固定に向かないワークには特殊なジグや手法を適用させる必要があります。
プロファイル研削加工
細溝の加工に多用される研削で、加工にはプロファイル専用のダイヤモンドホイールやCBNホイールを使います。投影機で、加工個所を拡大させながら加工されることが多いです。
電解研削加工
電解溶液の中で、加工対象の表面を電気的に溶かしていく加工を電解加工といいますが、電解研削と呼ばれる加工手法の多くは、砥石のドレッシングを電気的に行いながら研削していく加工を指します。これは砥石そのものに導電性の材料を使う必要があるため、メタルボンド等に限られてきますが、加工中に電気的にボンド層だけを剥離することで、鋭利な砥粒が常に突き出した状態を保つことができます。
内面研削
内研(ないけん)もしくはインターナルともいいます。穴の内側を研削する手法で、通常は軸付砥石が使われます。軸の先端部分に砥石がついた工具で、直径が小さなものでは数ミリから数十センチ程度のものがよく見られます。「砥石の回転数と周速度」の関係から、非常に高速で回転するため、きちんと安全基準を満たした軸付砥石を使うのがよいでしょう。なお、円筒研削盤の中には標準で内面研削ができる機構がついているものもあります。
センタレス研削
心なし研削ともいいます。通常は砥石のセンターには軸なり、センター穴等がついており、これを主軸として砥石は高速回転しますが、センタレス研削は砥石の中心を固定するタイプの加工ではなく、調整車と砥石との間に加工物を挟み込んで加工します。砥石の取り替えにいちいちフランジを締めこんだりする必要がなく、ワークもチャックで挟み込む必要もないため、量産には便利な加工です。

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