研削抵抗とは

2010年6月26日更新

ダイヤモンドホイール等の砥石が、工作物と接触して加工を行なっていくのが研削ですが、この際に発生する抵抗すなわち砥石側が受ける抵抗力(負荷)が「研削抵抗」です。

力学的には、法線研削抵抗(Fn)と接線研削抵抗(Ft)のように2分力で表すこともあります。前者は研削点応力を知るのに有効で、後者は研削に必要な動力を求めるのにも使うことができます。

一般に、研削抵抗が小さいほうが切れ味が良好であり、反対にこの値が大きい場合、砥石が対象を十分に削れていない状況が想定されます。研磨機に、アンメーター(もしくはアンペアメーター、電流計)がついている場合、研削抵抗が大きいとこの数値が上がってきます。よく切れないので機械に負荷がかかっている状態です。

研削抵抗の増減に強く影響する要素としては、砥石の場合、「切れ刃」となる砥粒の性状があげられます。ほとんどの研削では、加工の開始時にはこの値は高くなり、良好な砥石であれば段々に下がってきます。これは加工の進行とともに、自生作用が進んで砥粒の突き出し高さ(チップポケットの大きさ)が変わってきているからともいえます。このチップポケットは、切り屑の排出を助け、目詰まりを防止する効果を持つため、ここが十分にない場合は研削抵抗の増大が予想されます。砥粒が十分に突き出していない場合、すなわち目詰まりや砥粒の摩滅、形状変化などが起きている状況下では研削抵抗は高くなります。加工をする上では、これらをいかに避けるかで研削比も変わってきます。

またわずかとはいえ、砥粒の形状も影響を持ちます。丸い形状の砥粒のほうが、扁平な形状に比べて研削抵抗は大きくなる傾向にあります。

研削抵抗に直接的に影響する要素

  • 砥粒の密度(集中度)
  • 目詰まりのしやすさ(ボンドの性状)
  • 切れ刃となる砥粒の形状・鋭さ
  • 突き出し高さ(チップポケットの大きさ)

なお、切削抵抗にも同様の概念があり、こちらは3分力(主分力、送り分力、背分力)で表すことができます。

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