研削液(研削油)の役割は何ですか?

2009年9月14日更新

研削液(研削油)の役割は、大きく分けると次のような分け方ができます。

  • 潤滑性を高める(研削抵抗を減らす)
  • 冷却する
  • 防錆
  • 切り屑などの付着を防ぐ

研削液、研削油は研削加工において非常に重要な役割を担っています。乾式で用いる場合はともかく、多くの加工現場で採用されている湿式研削では、研削油の選び方、使い方次第で加工効率が大きく変わってきます。

研削中には、加工物と砥石の接点は非常に高温になります。このため、砥粒やボンドへの熱ダメージが大きすぎると、切れ味や寿命に悪影響を及ぼし、加工物そのものにも熱軟化等の影響を与えます。

研削熱をいかにして放熱するかという問題に最も直接的にかかわってくるのが、この研削液(研削油)の選択です。加工物と砥石の潤滑性をあげることで、研削抵抗を減らし、熱の発生をなるべく抑え、発生した熱に関しても冷却効果によって取り除き、かつ研削盤や砥石コア、フランジを錆びさせず、切り屑や砥粒の破片の付着を防ぐ、こうした点が研削液の選択では重要になってきます。

研削液には非常に多くの製品がありますが、ここでは大きく3つに分類して考えて見ます。

種類 特徴
ソリューブル系(水溶性) 透明もしくは半透明で水に溶けるタイプの研削液。界面活性剤、乳化剤などで構成。手軽な反面、油に比べて潤滑性で劣ることがあります。
エマルジョン系 ソリューブルとオイルベースの中間的な位置づけで、鉱物油、乳化剤ほか合成系の物質などで構成される研削液です。
オイルベース系(鉱物油系) 灯油などのオイル単体型と、硫黄・塩素等の極圧添加剤と混合したものがあります。水溶性に比べ優れた性能を発揮しますがオイルミストの問題や処理に手間がかかるのが難点です。

ダイヤモンドホイールの場合、砥粒が熱伝導率が高く、熱に弱いため、研削液によって研削抵抗を減らすことがより重要といえます。

CBNホイールでよく用いられるクリープフィード研削では、砥石と加工物の接触面積が大きいため、より熱を持ちやすく砥石やワークに焼けの問題を引き起こしがちです。この場合も、潤滑性の高い研削液を用いることで熱の発生を抑えつつ、冷却することが加工効率向上につながります。

選ぶポイントとしては、冷却優先か潤滑性優先かという視点も有効です。研削加工の様式やワークの種類、今の研削で起きている問題などを鑑み、優先度を絞り込んで加工に適した研削液を選択することが肝要です。

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