砥石が損耗する(減っていく)のはなぜですか

2011年2月9日更新

他の加工工具と砥石の大きな違いの一つは、砥石は自らを摩耗させながら対象を加工していくという点です。切削工具やドリル、バイト、エンドミル、カッターなどいわゆる焼結体を使っていない加工工具は、加工中に摩耗していきますが、摩耗しないと使えないというわけではありません。砥石は、原理的に減っていかないと対象を削ったり磨いたりすることができません。

減らない砥石というのは、切れない電球、永久に使える電池のように魅力的な響きではありますが、実際には存在しません。

これは砥石の構造、作りと大きく関係しています。人造砥石の場合、砥粒、ボンド、気孔の三つの要素からできています。このうち、砥粒が対象を削っていく刃として作用し、ボンドというのはこれらの砥粒を支え、固めているもので砥石の見た目の大部分はこのボンドです。気孔はポアとも言いますが、砥石の内部に残っている無数の小さな穴のことです。この気孔がない砥石もありますが、一般にはこの気孔のある砥石のほうが多いと言えます。気孔の役割は、削った対象物から出てくる切り屑(キリコ)を排出したり、砥粒とボンドの結合度合いを調整したりすることです。

砥石でものが磨けるのは、砥石の表面から突き出ている砥粒が対象の表面を削り取っているからですが、砥石が他の工具と大きく違うのは、この刃として作用する部分の数が非常に多いという点です。また、単刃ならば欠けたり折れれば使えませんが、砥粒の場合は、微小な破砕を起こしながら、つまり欠けながら加工対象を削っていきます。砥石の表面から突き出すこれらの砥粒がなくなると、砥石は全く切れなくなりますが、継続して砥石を使うことができるのはこの砥粒が次から次へと生え変わっていくからに他なりません。なぜ生え変わるのかといえば、砥石で削った時に出る切り屑(キリコ)が砥石の表面を削っていくからです。これによって、下の層にまぶされていた砥粒がまた表面に顔を出すという仕組みです。砥石が減らないと切れないというのは、このように砥石そのものがある程度削られていかないと次の砥粒が表面に出てこないからです。

こうしたことを繰り返すことで、砥石の「研磨」は成り立っています。スラリーなどの遊離砥粒といわれる液体研磨剤はまた少し違ったメカニズムですが、形を持っているいわゆる固形の研磨工具は、こうしたメカニズムでものを削っていきますので、全く減らない砥石というものはありません。あるとすれば、それはほとんど切れない砥石です。

ただ、砥石の損耗も程度の問題で、数回使っただけで大幅に砥層が減ってしまって形が崩れてしまうというようでは使い物になりません。砥石が減りすぎてしまうと感じるときは、研削条件の見直しや砥石の仕様変更の検討が必要です。

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