ステンレス板材の厚みによって仕上げ面粗さは変わりますか。

2011年1月10日更新

同じ研磨条件で同じ砥石や研磨材で仕上げているのに、ステンレス板材の厚みによって表面の状態が同じに仕上がらないケースがあります。

 ステンレス鋼板などの板材の研磨は、板の状態を精査するところからはじめます。ピンホールやスクラッチと言われる表面の微細な傷は、ステンレス板材の厚みによって変わるケースがあるため、シート状の薄板と厚板とでは研磨工程が若干変えることがあります。ステンレスの鋼種や研磨条件等の他の条件がすべて同じであれば、厚板のほうが一工程もしくは数工程、別の粒度を間にはさんだりすることもあります。

ワークの厚みというのは、加工変質層(加工時に力がかかり組織が変形する箇所)の範囲が変わるため、加工には影響があるのですが一般には軽微なため、機械にチャッキングできるかどうかという点以外はよほど精密な加工以外はこの部分を検討しながら研磨工程を組むことは稀ですが、ステンレス鋼板のように、厚みによってピンホールがよくあるかないかなど研磨に大きく影響するような場合は検討していく必要があります。

 

また厚みによって表面に「うねり」があると同じような条件で研磨をかけても面粗さを計測したときにずれが出てくることもあります。これはステンレスに限りませんが、研磨を始める前の状態がどうなのかという、出発材料の状態についてはよくよく理解した上で研磨工程の設計や実施をすることが必要です。

スポンサーリンク

>ステンレス板材の厚みと研磨仕上がりの面粗さの関係の先頭へ

砥石Q&A一覧へ戻る

ステンレス板材の厚みと研磨仕上がりの面粗さの関係の関連記事とリンク

ステンレスの鏡面研磨仕上げについて
ステンレスの酸化皮膜、不動態皮膜とは何ですか?
ステンレス鋼(SUS)の種類にJIS規格はありますか?

砥石からはじまり、工業技術や工具、材料等の情報を掲載しています。製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、購買調達、資材、生産管理、物流、経理など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

このサイトについて

研削・研磨に関わる情報から、被削材となる鉄鋼やセラミックス、樹脂に至るまで主として製造業における各分野の職種で必要とされる情報を集め、提供しています。「専門的でわかりにくい」といわれる砥石や工業の世界。わかりやすく役に立つ情報掲載を心がけています。砥石選びや研削研磨でお困りのときに役立てていただければ幸いですが、工業系の分野で「こんな情報がほしい」などのリクエストがありましたら検討致しますのでご連絡ください。toishi.info@管理人

ダイヤモンド砥石のリンク集

研磨や研削だけでなく、製造業やものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業分野で必要とされる加工技術や材料に関する知識、事業運営に必要な知識には驚くほど共通項があります。研削・切削液、研削盤、砥石メーカー各社のサイトから工業分野や消費財ごとのメーカーをリンクしてまとめています。

研磨、研削、砥石リンク集