ステンレスの研磨方法にはどのようなものがありますか。

2011年4月5日更新

身近なステンレスと言えば、台所の流し台、シンクが上げられると思いますが、これらを研磨したことがある方ならご承知の通り、研磨材などで磨いた後には表面に無数の線(研磨痕)が残ってしまいます。

研磨とは、つまるところ表面を削り取っていく加工形態の一つで、平たく言えば研磨とは傷をつけることと同義です。表面が鏡面かどうかは、この傷の深さ、大きさの違いということになります。表面を溶解させるタイプの加工やメッキ処理などの表面処理であれば話はまた違ってきますが、傷一つない表面であっても、実際には目に見えない凹凸(傷)が程度の差はあれど存在しています。

家庭用品や生活品へ加工される前の「材料」としてのステンレスは、ステンレス鋼板や棒材といった形で工場へ納入されますが、このうちステンレス板の場合、表面にどのような処理を施すのか、いくつか種類があります。これらは主として耐食性を向上させたり、指紋や汚れを付きにくくしたりするためのもので、「研磨」の程度によって分類できます。ステンレスの表面仕上げの名称は、No.1、No.2D、No.2B(ツービー材)、No.3、No.4、#240、#400、BA、HL(ヘヤライン仕上げ)、No.7、No8(ナンバーエイト仕上げ)などがよく知られています。

これらの表面仕上げ方法のうち、No.3、No.4、#240はそれぞれ粒度の違う「研磨ベルト」で研磨したもの、となっており、#400はバフで研磨したもの、という指定があります。

ステンレス鋼板の研磨方法でポピュラーなのは、ベルトコンベヤーのような高速回転するベルトに研磨材が付着させてあるものや、回転するベルトに液体状の研磨材や固形上の研磨材を流し込むようにして磨く方法があります。ステンレス板は大口需要家である工場向けとしてはロール状で取引されることが多いですが、研磨ベルトを使わないで研磨する方法もあります。いわゆるバーチカルの研磨機などで、ヘッドに砥石やフェルトをつけ、研削液を流して平面研磨する方法です。部品としてのステンレスは、研削盤などに研削砥石をつけて加工されることが多いと言えます。また仕上げにはバフ研磨と呼ばれる布バフと青棒(酸化クロムをベースにした研磨材。固形のスティック状になっているものが多いです)を用いた研磨がなされることもあります。ステンレスの研磨では、どのような形状・寸法のものを、どの程度の仕上がりにするのか、単品か量産加工かによってだいたい最適な方法は絞られてきます。大形の鋼板で鏡面にまで仕上げる必要があり、加工量が多いならば研磨盤を取り付けるタイプのバーチカル研磨が可能な大形機械、入り組んだ形状で一つしかないのであれば、手作業でバフ研磨を行う、等の選択が考えられます。

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