水溶性切削油剤の種類

2009年9月14日更新

乾式研削では検討する必要はありませんが、多くの加工で用いられる湿式の加工では、切削液の良し悪しが砥石や研削盤の性能を左右するほどの重要な要素となることがあります。水溶性切削油とは、水で薄めて使うタイプの切削液の総称で、研削に用いる場合は研削液とも呼びます。この種類に分類されるものは大別すると次の2つです。

エマルジョンタイプ W1種 鉱物油(50〜80%)+界面活性剤(15〜30%)
ソリュブルタイプ W2種 界面活性剤(40〜80%)+鉱油(5〜20%)
  

エマルジョン型のものは、油の粒が希釈した水のなかで分散して、これに光が乱反射するため、液全体が白く濁って見えます。反対にソリュブル型のものは、油分の少ないため、透明か半透明に見え、作業性にも優れます。一般的にはエマルジョンよりもソリュブルのほうが表面張力が低く、金属の表面をよくぬらすことができて洗浄効果も高いとされます。

いずれも、水で薄めることを前提にしていますので、錆び止め剤を添加したり、pHを8.5以上の高アルカリにするなどして錆びの発生を防ぐ工夫がしてあるものが多いです。

水溶性切削油剤の組成、含有材料
被乳化剤 基油 マシン油など
油性剤 動植物油 エステル油など
極圧添加剤 塩素化パラフィン 硫化脂肪油など
乳化剤(界面活性剤) アニオン系 脂肪酸石けん ナフテン酸石けん 石油スルホン酸塩など
非イオン系 ポリオキシエチレン誘導体 ソルビタンエステル アルキロールアミドなど
錆止剤 有機系 カルボン酸誘導体 アミン化合物など
無機系 (亜硝酸ソーダ)りん酸塩、ほう酸塩など
pH維持剤 トリエタノールアミンなど
銅合金防食剤 ベンゾトリアゾールなど
その他添加剤 防腐剤 トリアジン化合物など
消泡剤 シリコンエマルションなど
カップリング剤 グリコールなど

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