チップブレーカの役割と種類について

2013年8月6日更新

チップブレーカーとは、旋削加工で用いる切削工具でワークを削っているときに発生する「切りくず」を処理するために設けられた工具先端の「溝」や「障壁」のことです。バイトなどの切削工具の刃にうまくマッチしたチップブレーカーがついていると、切りくずが必要以上に成長せず、ワークや工具、作業者を傷つけることなく、きれいに落ちていきます。

スローアウェイチップをはじめ、先端にチップのついたバイトを使って対象を切削すると、対象の切りくずがリボン状にカールしていき、これらがワークに絡み付いていきます。この巻き込んだ切りくずによってワークに傷がついたり、工具側にダメージが起きたりするため、切りくずはいつまでもつながった状態で巻き込んでいくのではなく、適宜、ワークから切り落としていく必要があります。

この役割を担うのが、工具の先端部分についたチップブレーカーと呼ばれるもので、種類としては、形状によって平行形、角度形、溝形、逆角度形などのものがあります。

チップブレーカーに種類があるのは、ワークの材質によって切りくずの発生の仕方が異なるからです。切りくずは旋削の場合、どんどんカールしていきますが、このときに、材質によってはカールするそばから勝手に折れていくものもあれば、巻いた切りくずが工具に当たって千切れるもの、あるいはワークにあたることで千切れるものなどがあります。

またカールするだけならばともかく、切りくずが削るそばからまっすぐに伸びてきた場合、作業者にあたったり、工具にぶつかることでチッピングの原因にもなります。

これらは削っていくワークの材質、加工条件、使用工具、使用機械などによって決まってきますが、チップブレーカーに求められる役割というのは、使う際にこの切りくずがきちんと落ちるかどうかという点のほか、以下の点があげられます。

  • 切りくずを速やかに切断・切り落とし、作業者、ワーク、工具にダメージを与えないようにする
  • 切削抵抗を減らす
  • 工具寿命を延ばす

逆に言えば、チップブレーカがうまく作用せずに切りくずが落ちていかないと、これらがうまくいっているものに比べて、工具に絡みついたり、ワークに絡みついたりすることで、切削における抵抗があがって切れ味が低下し、工具のライフも低下していくということが言えます。

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