ダイヤモンド砥石はどのくらいまで減ったら取り換えるべきですか(工具寿命の判断について)

2009年9月14日更新

実際のところ、どこまで使えるというのは明確な定義はありません。使っている砥石の粒度や、切り込みの深さや1回の加工でどれくらい使うのか、減るのかによっても変わります。0.1mm以下まで使えたという人もいれば、0.5mm程度残したという人もいます。砥層の一部分がはがれてしまうようであれば、それ以上はどうやっても難しいかと思います。研削盤での研磨中に台金が加工対象に振れると、ほとんどの場合、工作物は台無しになりますので注意が必要です。なお、手作業で使うダイヤモンド砥石に関しては、使いながら様子を見ることができますので、この限りではありません。

切削工具の場合であれば、逃げ面磨耗、すくい面磨耗が規定値に達したときに寿命がきたと判定されますが、砥石などの研削工具類では規程する加工精度が維持できなくなったら寿命といわれます。

ストレートホイールであれば、砥層の厚みが比較的見えやすいですが、カップホイールの中には砥層と台金の接触面積を稼いで密着力をあげることもおこなわれるため、どのくらいまで使えるのかの見極めは困難です。ずいぶんと使い続け、終盤で精度が維持できないようならば、その砥石は寿命がきたと言えます。

稀にこうした砥層を抱き込むタイプの台金が採用されている場合、砥層が二層構造になっている場合もあります。この場合、台金と接着されている「土台」部分の砥層にはダイヤモンドを入れていないことがあります。ダイヤモンドが使われる量が減れば単価が落ちますので、そうした配慮のほか、ダイヤモンド砥粒が入っていないほうが台金との密着力が多少上がるため、こうした手法が使われることがあります。こうした砥層が採用されている場合であっても、ダイヤモンド砥粒が入っていない層が使われ始めると工作物の加工維持は困難になるため、寿命判定は可能です。

CBNやダイヤモンドを用いた工具、砥石は高価なため、ぎりぎりまで使い切りたいものです。ただ実際にはダイヤモンドホイール等でも、ダイヤ層である砥層の厚みは薄いものでは2mm程度、一般的なものでも5〜10mm以下のものが多く、砥石の最後の見極めがしづらいかと思います。あともう少し使えると思って研削していたら、砥層がなくなって加工物に傷がついた、あるいは安全を見て早めに新しいものに取り換えたが、まだ十分使えると上司に注意された、などこればかりは使いながら工具の寿命判定の感覚をつかむしかないようです。

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