インジウム(元素記号 In)の用途、特性、物性、密度、比重、融点、沸点など

2012年8月30日更新

インジウムは液晶ディスプレイの普及とともに急速に関心の高まっている元素の一つです。レアメタルに分類される遷移金属で、軟らかく、低い融点を持つ金属です。

主要な用途は、酸化インジウムと酸化スズの混合物である酸化インジウムスズ、通称ITOとしてタッチパネルやFPDなどに透明導電膜として使われるほか、展性や延性に優れていることと低融点であることから無鉛ハンダとしても使われます。特にRoHS指令による6規制物質の中に鉛があることから、鉛を用いたハンダが電子部品に使うことが出来ないため、代替材として注目を浴びました。インジウムやその化合物にも毒性はあり、安全だからという理由で鉛の代替となったわけではなく、あくまでRoHS規制対策という意味での代替材です。

金属材料で電気を通すものは他にも数多くあり、導電率で勝るものもありますが、薄膜にした際に、「透明」であり、電気も通すという性質を持つ材料はほとんどありません。フラットパネルディスプレイや、タッチパネルなどは、この二つの条件を満たす必要があり急速に普及した次第です。

インジウムの埋蔵量は、以前は日本が世界最大の産出国で、豊羽鉱山が札幌市にありました。この鉱山は採算の悪化と資源枯渇を理由に廃坑となりました。インジウムそのものは亜鉛からの副産物となりますが、現在の最大の生産国は中国となります。そして最大の消費国が日本となっています。

一時期、2005年前後には投機的な要因もありインジウムが高騰し、インジウムの代替品模索や回収、もしくは回収を前提に取引する動きなどもありました。

インジウムの推定埋蔵量は、多い順にカナダ、米国、ロシア、ペルー等となります。このため、最近では中国以外からの供給ルートの確立もされつつあります。

インジウム(元素記号 In)が活用されている分野

  • 透明電極
  • 透明導電膜
  • 液晶ディスプレイ
  • 太陽電池(CIGS系太陽電池)
  • 発光ダイオード
  • 化合物半導体
  • ITO(酸化インジウムすず)
インジウム(元素記号 In)の特性、物性
分類 金属元素
電子配置 4d105s25p1
英語 Indium
原子量 114.8
同位体 113In、115In
融点 156.6℃
沸点 2072℃
密度 7.31g/cm3
比重
硬度 モース硬度1.2
色、形状 銀白色
20℃、1atmでの状態 固体
線膨張率
(α/10-6K-1
100K:25.4
293K(20℃):32.1
500K:-
800K:-
インジウム(元素記号 In)の電気抵抗(ρ/10-8Ω・m)
700℃ 47
300℃ 36.7
100℃ 12.1
0℃ 8.0
−195℃ 1.8
インジウム(元素記号 In)の熱伝導率(W・m-1・K-1
700℃ -
300℃ 42
100℃ 76
0℃ 84
-100℃ 92

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