紛争鉱物におけるOECDのガイドライン

2014年2月9日更新

紛争鉱物における調査には3つのステップが設定されており、OECDのガイドラインが必要となるのは、ステップ3まで進んだ企業がデューデリジェンスを実施して米証券取引委員会に提出する紛争鉱物報告書を作成するケースです。逆に言えば、ステップ3に到達することなく調査が終わった企業には必要ありません。

紛争鉱物の使用状況によっては、ステップ1やステップ2で終わりということもあり、この場合はデューデリジェンスを行うことまでは法律で定められているわけではないからです。(とはいえ、紛争鉱物の対応についての方針を定めている多くの企業はここまで想定しているところが多いですが)

ちなみに、これらのステップを考える必要があるのは、基本的には米国上場企業だけですので、米国に上場する関連会社などがあるわけではない日本の会社にとっては、顧客から依頼のあった紛争鉱物報告テンプレートに従い、自分たちの仕入先にも調査を依頼して内容をまとめ回答する、という流れとなります。

このため、以下は最終的な客先でいったい何が求められているのか、を示す参考情報の一部とお考えください。

米国上場企業に課せられている開示義務の種類とレベル

紛争鉱物の開示義務は、3つのステップごとにその内容が異なります。

紛争鉱物調査の3つのステップ
ステップ 調査内容と開示義務
ステップ1 自社の製品の製造やその機能に、紛争鉱物(3TG)として定義されるスズ、タングステン、タンタル、金が製品と製品機能に必要かどうか(これらに由来するものも含む)。不必要であり、使用もしていない場合はここで調査終了。開示義務もない。
ステップ2 紛争鉱物(3TG)を使う必要がある、使っている場合は、これらの出所について、合理的な原産国調査を実施。この結果、コンゴ民主共和国とその周辺国(10カ国)から産出されたものであることわかり、しかもスクラップやリサイクルに由来するものではないことがわかった。→米証券取引委員会書式のform SDにて、毎年その情報を開示する義務が発生。ウェブサイトにも調査結果を掲載。【参考】紛争鉱物の情報開示用に使われるform SDの原文
ステップ3 ステップ2の調査の結果、紛争鉱物の対象国に由来する紛争鉱物を使っていることが分かった場合、デューデリジェンスを実施し、監査も受ける。OECDのガイドラインは、このデューデリジェンスのためのもの。この段階まで進んだ企業はform SDを入力し、毎年その情報を開示する義務が発生。また、紛争鉱物報告書を作成し、米証券取引委員会に提出する義務も生じる。

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